現在の腰痛事情

現代腰痛事情

受診のタイミングを逃さないで!高齢者に多い腰部脊柱管狭窄症

当院にみえる患者さんの約半数が、腰痛患者です。
急性の腰痛やギックリ腰、安静にしていたけど痛みが引かない、ようやく動けるようになったから来たという人など、その状態は実にさまざまです。痛みを感じたら、まずは安静にしながら様子を見て、数日しても痛みが治まらないようであれば整形外科の専門医に診せてください。
「昔、転んで腰を打ったことがあるから痛むのだろう」などと勝手に思い込んで、来院のタイミングが遅れるケースがありますが要注意です。腰痛は、内臓疾患から来る重大な病気に起因することもありますから、たかが腰痛と甘く見ないことです。

整形外科では、細心の注意を払って問診を行います。痛みの原因に心当たりはないか、どういう姿勢の時に痛むのか、体動痛か安静時痛か、持続的に痛むのか、痛みに波があるのか、神経性の痛みかどうか、その人の年齢や生活習慣などからも判断していきます。
若い人であれば筋膜性の腰痛、腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニアなどが多く、50代後半以降であれば、変形性腰椎症や変性すべり症、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)による圧迫骨折も疑います。近年では、高齢者に腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)が急増しています。

症状が似ている閉塞性動脈硬化症はABI検査や触診で発見するよう注意

腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)は、加齢により背骨の中の神経の通り道である脊柱管(せきちゅうかん)が狭窄することで神経や血管が圧迫され、血流障害が発生し、下肢痛やしびれを引き起こす病気です。
間欠跛行(かんけつはこう)といって、下肢がしびれたり痛くなって長い距離が歩けなくなり、前かがみで休むとまた歩けるようになるという症状が特徴です。これは、血管性の病気である閉塞性動脈硬化症とよく似ているため、下肢痛を訴える患者さんには、触診や血圧脈波検査装置で腕と足の血圧の比較をして下肢の血管に異常がないか調べるABI検査を行って、見落とさないよう気をつけています。閉塞性動脈硬化症は、発見が遅れれば足に壊死などを起こして危険な状態にも陥りかねないからです。

腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)は、保存治療が中心となります。消炎鎮痛剤やビタミンB1、血流改善に有効なプロスタグランジンE1(PGE1)製剤などの服用から始めます。
時間に余裕があれば理学療法も平行して行うこともあります。しかし、それでも痛みが引かなければ、神経ブロック注射、それでも症状が良くならなければ、悪化して排尿排便障害を起こす前に手術も視野に入れなければならないでしょう。私の経験では手術に至るケースは1割程度。大概は投薬で痛みがコントロールできれば、上手に付き合っていけるというのが腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)です。

筋肉のストレッチなど運動を続け、背筋、腹筋、下肢の筋肉を柔軟に

今後、腰痛患者はますます増えていくはずです。
日常的に気を付けなくてはいけないのは、「正しい姿勢を保つ」こと。忙しい現代人は仕事やストレスで筋肉が緊張しがちです。その緊張をストレッチでほぐして柔軟にしてあげることが大切です。毎日軽い運動を続けて、腹筋や背筋、下肢の筋肉を鍛えるよう努力してください。筋肉が鍛えられれば、正しい姿勢を保つことができます。
また、肥満が腰に負担をかけていることもあるので、食生活を含めて今一度、自分の生活を見直すことを勧めます。

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